ダイエットという言葉には、
いつも“戦い”の気配がつきまといます。
・我慢
・制限
・努力
・根性
・意思の強さ
世の中のダイエット情報のほとんどは、
「いかに戦うか」という視点で語られています。
けれど、この本で繰り返し述べてきたように、
私たちが本当に向き合うべき相手は「敵」ではありません。
戦う相手は食べ物でもなく、欲望でもなく、
意思の弱さでも、過去の失敗でもない。
私たちが向き合うべきは、
“考え方の向き”だけだったのです。
■ あなたは自分と戦わなくていい
20kg減を達成したあと、
私が最も強く感じたのは、
自分と戦う必要はどこにもなかった、という事実でした。
以前の私は、
食べたい衝動を“悪”として責め、
できなかった自分を罰し、
意思が弱いと落ち込んでは、
また新しいダイエットへ手を伸ばしていました。
けれどそのどれもが、
“自分を敵にする”という前提で組み立てられた方法 でした。
自分を敵にした瞬間、
人生は苦しくなる。
続かなくなる。
そして自己肯定感が下がる。
これは当然の流れでした。
本当に必要だったのは、
敵をつくることではなく、
“味方になること” だったのです。
あなたは、自分と戦わなくていい。
むしろ戦ってはいけない。
戦う構造そのものが、あなたを苦しめていたから。
■ 変化の源は「努力」ではなく「考え方の向き」
この本で示してきたことは、
努力を増やす方法ではありません。
・空腹の時間をつくる
・少しだけ歩く
・食べる理由を確かめる
・情報を減らす
・朝の静けさを味わう
・読書で思考を整える
・7割でいいと自分に言う
どれも「努力」ではなく、
“向き”を変えた結果として自然に続いた行動 でした。
努力は一時的な力。
向きは永続的な力。
努力で動くと、
エネルギーが切れた瞬間に崩れます。
向きで動くと、
疲れても自然に戻っていけます。
そしてその“向き”とは、
未来の自分に向かうこと
自分を大切にする方向を選ぶこと
体の声に耳を澄ますこと
心の余白を失わないこと
これらが積み重なると、
変化は「起こすもの」から「起きるもの」へと変わります。
■ 自分を整えるという生き方へ
ダイエットとは本来、
痩せるための技術ではなく、
“自分を整えるための道具” にすぎません。
体を整えると、
心が整います。
心が整うと、
思考が整います。
思考が整うと、
人間関係が整います。
人間関係が整うと、
人生が整い始めます。
整った人生は、
驚くほど静かで、軽くて、優しい。
この本を通して伝えたかったのは、
“痩せる”そのものよりも、
“自分を整える生き方”を手に入れることの価値でした。
自分を整える生き方は、
あなたの心にいつも余白を残します。
余白があると、
人に優しくなれます。
選択が穏やかになります。
未来に希望が生まれます。
“戦わない生き方”ができるようになります。
そして何より——
あなたがあなた自身の味方になれます。
■ 読者への静かな励まし
ここまで読んでくださったあなたに、
最後に贈りたい言葉があります。
あなたは、変われます。
なぜなら、
変化とは“能力”でも“才能”でもなく、
考え方の向きを少し変えるだけで自然に起きる現象だからです。
あなたの中には、
変わる力がすでに備わっています。
食欲の波も、
衝動も、
ストレスも、
怠け心も、
過去の失敗も——
すべてはあなたの敵ではなく、
“整えば静まるもの”です。
あなたは戦わなくていい。
あなたは責めなくていい。
あなたは、
少しずつ自分を整えることで、
静かに確実に変わっていける。
この本が、
あなたが自分を大切に扱う人生への
最初の一歩になれたら——
それ以上にうれしいことはありません。
ダイエットという言葉から自由になったとき、
あなたの人生は、
驚くほど軽やかで、しなやかで、
優しい方向へ動き始めます。
どうか、自分を大切に。
そして、ゆっくりでも確実に、
あなたの人生を整える方向へ歩んでいってください。

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