私が長い間信じていた「ダイエットの常識」は、
今振り返ると、どれも“心と体の仕組み”に合っていませんでした。
「食べる量を減らせば痩せられる」
「甘いものを我慢すればいい」
「運動をたくさんすれば必ず結果が出る」
「根性があれば続けられる」
多くの人が口にし、
私自身も疑わずに信じていた言葉です。
けれど、それらは実は太りやすい思考を生み出すものでした。
なぜなら、人間の心には限界があるからです。
何かを“我慢する”という行為には、
大量のエネルギーが必要です。
心理学ではこれを「注意資源」と呼びますが、
これは無限には存在しません。
仕事、家事、人間関係、悩みごと……
日々の生活の中で、
この貴重な資源はどんどん消耗していきます。
心が疲れている状態で、
「お菓子を我慢しよう」「夕食を減らそう」と言っても、
その判断を支えるための注意資源が残っていないのです。
だから、我慢する。
そして疲れる。
疲れた心は、その反動として“すぐに満たされるもの”を求める。
甘いもの、しょっぱいもの、油の多いもの。
そうした食べ物は、一瞬で心のざわつきを消してくれるからです。
結果として、
我慢 → 消耗 → 反動 → 過食
というサイクルが生まれます。
これは意思の弱さではなく、
人間の心と体がもつ自然な反応です。
むしろ、この仕組みを理解せずに
我慢だけで頑張ろうとする方が不自然なのです。
さらに厄介なのは、
こうした無理な努力を続けることで、
「自分は続かない人間だ」という
ネガティブな思考の癖 が強化されることです。
これは体重以上に重くのしかかる負担でした。
「頑張っているのに報われない」
「また失敗するかもしれない」
そんな思考が続けば、
そもそも行動を始める気力さえ奪われてしまいます。
つまり、ダイエットの常識は、
心と体の仕組みに逆らう“逆風の方法”だったのです。
しかし私は、朝活を通して気づき始めました。
変わらなかった理由は、努力が足りなかったからではない。
努力の方向そのものが、体の仕組みに合っていなかったからだ。
我慢ではなく、整えること。
根性ではなく、思考の向きを変えること。
制限ではなく、選択を優しく変えていくこと。
この新しい見方は、
後の大きな変化の土台となっていきました。


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