朝早く起きる習慣を始めた頃、
私はまだ「朝活」という言葉の意味をよく理解していませんでした。
ただ、あの日の散歩で感じたあの“静けさ”を、
もう一度味わいたいという気持ちだけがありました。
外に出ると、世界はまだ動き出す前のように静まり返っていました。
車の音も、人の声もほとんど聞こえない。
ただ風の音と、自分の足音だけが耳に届きます。
その静けさの中で歩いていると、
これまで一日中まとわりついていた雑念が、
すーっと薄れていく感覚がありました。
思った以上に、私はずっと“騒がしい心”の中で生きていたのだと
気づかされました。
心が静まると、思考も自然と整理されていきます。
「何に焦っていたのか」
「なぜイライラしていたのか」
「実際には何が問題だったのか」
そんなことをゆっくり考える余裕が、朝の空気の中にありました。
私はそれまで、
何かを変えるには根性が必要だと思っていました。
強引にでも行動を変えれば、
心も後からついてくるはずだと。
しかし、朝活を続けるうちに気づいたのです。
心が整うと、行動は自然に変わり始める。
根性よりも先に、心の状態が鍵になる。
朝の静けさは、それを教えてくれました。
■ 思考が整理されると、感情が安定していく
以前の私は、
「不安」「イライラ」「焦り」といった感情が
自分の中で渦巻く理由を、うまく説明できませんでした。
ただ、そう感じるからそうなのだと思い込んでいたのです。
しかし、早朝に歩きながら、自分の心を観察してみると、
感情は“突然発生する霧”のようなものではなく、
その背景に必ず原因があることが少しずつわかってきました。
・昨日の寝不足
・仕事の小さなプレッシャー
・ちょっとした気まずさ
・疲れの蓄積
・将来への漠然とした不安
それらが知らない間に混ざり合い、
「ストレス」というひとつの大きな塊になって
心に覆いかぶさっていたのです。
朝活は、その塊をゆっくり紐解く時間でした。
心の中にある不安や焦りの“正体”がわかると、
過食や衝動的な行動に流されることが少なくなりました。
理由がわかれば、心は落ち着く。
落ち着いた心は、乱れた行動を自然と選ばなくなる。
この感覚は、私にとって大きな発見でした。
■ 静けさは「自分の声」を取り戻す場所だった
朝の時間に歩いていると、
ふと、自分自身の声が聞こえてくることがありました。
「本当はどうしたいのか」
「何をやめるべきか」
「どこを整えたいのか」
それまで、日中の騒がしさの中では
まったく聞こえなかった声です。
私たちは日々、膨大な情報と刺激にさらされています。
テレビ、SNS、広告、仕事の連絡……
自分の意思とは関係なく、次々と外から流れ込んでくるものばかり。
静かな時間がなければ、
自分の声はそのざわめきにかき消されてしまいます。
しかし、早朝には雑音がありません。
だからこそ、心の奥に沈んでいた“本音”が浮かび上がってくる。
その本音こそが、
後に20kgの減量を導いた「考え方の刷新」の源でした。
■ 朝活は「行動を変えるための土台」をつくっていた
私にとって朝活は、
“特別なテクニック”ではありませんでした。
むしろ、
心に余白を与え、自分の声を聞けるようにする習慣
だったのです。
心が静まり、思考が整理され、感情が整うと、
無理に頑張らなくても行動が変わり始めました。
・ジャンクフードを自然と避けたくなる
・軽い運動が心地よく感じられる
・夜更かしをしなくなる
・生活リズムが整う
すべては、朝の静けさがもたらした変化でした。


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